「横浜骨董ワールド骨董縁起帳」

コッツウォルズでひとやすみ

英国カントリーサイドのクリスマスはいかが!


11月になると街はすっかりクリスマス!暗くなる時間が早くなる分、キラキラと輝く時間が増え、北風に頬を撫でられながら、襟を立ててウインドーショッピングして歩くのも楽しいシーズンです。
英国の秋は元気な太陽に別れを告げ、これからやってくる暗くて寒い冬を迎えるというちょっと寂しい時期でもあるのですが、それ以上にクリスマスの気配があちこちで感じられワクワクとしてくる時期でもあります。春から夏の英国は日が長くお花がいっぱい咲き乱れ、ため息が出るほど美しいものですが、寒くなってからもしっとりとしていて、心引かれるところも多いのですよ。

英国のクリスマスシーズンは11月の末くらいから始まり12月を越え、1月の初めのバーゲンセールまで続きます。ロンドンなど都会では各デパートやお店が洗練された、それぞれご自慢の飾りつけや宣伝に力を入れ、クリスマスムードを盛り上げますがカントリーサイドの落ち着いたクリスマス風景や暮らしを覗いてみるのも素敵です。
コッツウォルズ最北端の町チッピング・カムデンは蜂蜜色(ライムストーン)の建物がならぶ賑やかで大きな町。毛織物の売買で繁栄したところで17世紀初めに町中央に建てられた石作りのマーケットホールを見ることが出来ます。今は当時の賑わいは感じられませんがクリスマスのリースが飾られ静かな佇まいでした。現在、ナショナルトラストの保護資産として、又街のシンボルとして大切に保存されているそうです。当時の毛織物で財を成した人たちのお屋敷を垣間見る事も出来、アンティークショップの散策とあわせて楽しい時間の過ごせるところです。 素晴らしく美しい町、ブロードウエーにはちいさな可愛いお店が立ち並び、クリスマスシーズンはひときわラブリーな街並みになります。駅馬車の行き来する宿場町でしたのでホテルやインが軒を連ね、中でもライゴン・アームズはチャールズ1世や宿敵のクロムウェルが宿泊した事でも有名な古式騒然とした風情です。可愛い小物を扱うお店や思わず手を出してしまいそうな美しい缶入りのキャンディーをショーウインドーに並べている店には必ず入ってしまうのであっという間に夕方という事にもなりかねません。

コッツウォルズで一番標高が高く主要道路が集まっているストウ・オン・ザ・ウォルドも12世紀ごろから羊毛市場の中心地として栄えたところらしく、見栄えの良い、可愛い町としての姿を今も保っています。決められた夜に行われるクリスマスマーケットは移動式のメリーゴーランドや子供向けの施設も現れ驚きました。地元の人たちが思い思いに出しているお手製品のブースや食品メーカーの出しているブース、焼きたてのコーニッシュペストリーを並べているお店、大きなフライパンでナッツをローストしてよい香りをさせているお店がとても楽しい!お目当てのアンティークショップも沢山あり目はキョロキョロするばかり。インテリアショップの前ではスパイシーなホットワインとミンスミートパイを売っていましたよ。その横では救世軍のボランティアが募金集め。クリスマスのスピリットあふれる町の様子に夜のふけるのも忘れてしまいます。バグパイプを演奏しながら町を回っているキルトスカートのジェントルマンと何回遭遇したでしょう。さっそうとした白馬のひく馬車はハイストリートを一周しては又次の子供たちを乗せ、出かけていきます。きっと昔から繰り広げられてきたこんな素朴な風景にふっと自分を重ねる事の出来る幸せを感じ、嬉しくなります。

翌日は車を走らせバーフォードに。実はこのバーフォードはブロードウエーと並んで、私の特別好きな町。一本のハイストリートの両側にぎっしり並んだ可愛いお店やおしゃれなブティック、ハイセンスな小物やさんもクリスマスのお化粧がされとても可愛い!この町も羊で栄えたところなので豊かさの残る美しい町並みと集会場のあとなどを見ることができます。ほっとひといきが楽しくなるティーハウスや美味しいパンを販売、レストランもしている歴史あるベーカリーなど軒を連ねています。小さな本屋さん、キッチン雑貨を売る店、可愛いお花やさんを覗いて見るのも楽しいですね。そしてメインストリートから少し入ってみると町の人たちの日常の暮らしに触れる事が出来ます。クリスマスリースのかけられた可愛い門構えやフェンス。レースのカーテンの飾り方がなんとも可愛い家。植木の刈り込みが素敵な家。ウインドーボックスの花や緑のバランスが絶妙な家。導かれて入った小道の裏手に流れるウインドラッシュ川にはアヒルが気持ち良さそうに水浴びを楽しみ、木彫りのデコイのようにプカプカ浮かんでいます。

翌日はロンドンへの帰り道なのでバースに寄り道して帰路に着く事にしました。バースはその名の通りBath,お風呂です。古代ローマンが温泉を見つけたことからそんな名前がついたといわれています。中世の英国の人たちが湯治の場としていたローマンバスと町のシンボルでもある教会、バースアビーの広場にたつクリスマスマーケットもとても賑やかで必見です。ベイビー・イエスが生まれた馬小屋のような作りのブースが並び、その屋根にはクロッカスなどの球根の芽が出ていました。それぞれのブースで売られるものも買いやすいものばかりでクリスマスの思い出作りには絶好です。お腹がすいた時は勿論ローマンバスのなかにあるポンプルームレストランに向かい、クリスマスの特別メニューを楽しむ事ができます。クラシックのライブ演奏もいつもどおりで、中世の人たちの楽しみを実際に感じてみるのも楽しいですね。

お花の多い英国を皆さんが求め、訪れる気持ちも理解しますが、静かな冬に小さな町を訪れ、土地の人たちと楽しみを共有する事も素敵です。マナーハウスに泊まって暖炉から香る薪の香ばしさや炎の誘惑に体の力を抜いて身を任せてみるのはいかがでしょう?本当に英国の魅力はこんなところにあるのかも知れませんね。

ジンジャーボーイクッキー
材料:
ケーキ用マーガリン又は無塩バター 100グラム
薄力粉 230グラム
三温糖 80グラム
ナツメグ、オールスパイス、バニラエッセンス 適量
作り方:
1. ボールに柔らかくしたケーキ用マーガリンと三温糖を入れ、良くすり混ぜる
2. 卵を加え、良く混ぜてバニラエッセンス、ナツメグ、オールスパイスも加える
3. この中に小麦粉も加え、良く混ぜてから、ビニール袋に入れて冷蔵庫で30分ほど休ませる
4. 打ち粉をした台にこの生地を広げジンジャーボーイの抜き型で抜き、飾りをつける、余熱なしのオーブンの中に入れ、160度で20-25分程焼く