寒かった冬もやっと過ぎ去り、この週末24日は春を告げるイースターです。西洋からやって来た行事のクリスマスやハロウィーン、バレンタインデーなどは日本でも広まり、楽しまれていますが、このイースターはキリスト教の宗教色が強いせいか余りおなじみではありません。でも欧米の人たちにとっては特別!待ち望んでやって来る春で心ワクワクの時なのです。
イースターは復活祭とも呼ばれ、十字架につけられ処刑されたイエス・キリストの復活を祝うキリスト教の祝日となっています。日にちは毎年違い、春分の日のあとにやって来る最初の満月の次の日曜日と決まっています(少々ややこしいですね)。イースターの日曜日には家族が集まり教会や公民館でのエッグハンティングを楽しんだりと春の到来を喜ぶお祭りとなっています。町のお菓子屋さんやパンやさんではうさぎやひよこ、卵をかたどったチョコレートやパン、お菓子が作られ、ショーウインドーを飾ります。どうしてうさぎにひよこに卵なのでしょう?うさぎは多産の為に生命の象徴でありぴょんぴょん跳ぶ姿が躍動的。ひよこや卵にもいのちの力が感じられる為にイースターのシンボルになっているとの事
です。
木々が芽吹き、球根や新芽が長かった冬に別れを告げ地中から頭を出す頃はまだまだ寒さの厳しい日もあり、かといってぽかぽか陽気の日もあり、季節の山を乗り越えて行くのは大変でもありますが、感激も多いという事です。日本では三寒四温とも表現していますね。英国のことわざに「春はライオンのようにやってきて子羊のように去る」とありますが、まさにライオンがひと暴れして、春の扉が開くのですね。
英国の今春、国をあげてのメインイベントは何と言ってもウィリアム王子とケイト・ミドルトンさんの結婚式です。予定では4月29日金曜日、日本のカレンダーでも昭和の日休日であり、大安です。テレビ中継も予定されているので皆さんで美しく華麗なロイヤルウェディングを見ることが出来ますよ。
ウィリアム王子はご存知の様にチャールズ皇太子と亡きダイアナ妃の間に生まれた長男です。弟のヘンリー王子と共に英国では現婦人のカミラさんとの事で人気を落としているチャールズ皇太子以上に支持されている好青年たちなのです。特にウィリアム王子は背筋が伸び、すらっとした体型と笑顔からこぼれる白い歯、まぶしい眼差しは英国のバラとも言われる故ダイアナ妃を思い出さない人はないでしょう。伴侶に選ばれたケイト・ミドルトンさんも素朴でありながら美しく、普通の人でありながら輝き、周りの人を幸せにする笑顔で亡き母親以上のお役目を遂行していく事でしょう。
英国にはこの様にナショナルトラストに守られ、維持されている歴史的建築物や公園がたくさんあります。いくつかをご紹介しましょう。
最近、英国にいらした方はご成婚記念のお土産品をたくさんご覧になった事でしょう。日本では皇太子様がご結婚された時にお菓子の缶やマグカップ、Tシャツ、ティータオル、鉛筆やら小物にまでお写真を刷り込んで発売すると言う事はありませんが、英国ではとにかくあちらを見てもこちらを見てもそのような品々が一杯になります。なかなか個性的で素敵な物もありますが、見るからに安物、みやげ物という品に写真を載せられるお二人もお気の毒ですが、商売商売!経済効果に貢献できればこれも良し!という寛大な考えもあるのでしょうね。
1685年から1688年にかけて建てられたリンカーンシャーにある蜂蜜色のマナーハウスです。36エーカーという広大な敷地では美しいガーデンや湖まで続くレークサイドウォークが楽しめ、建物の美しさやインテリアの豪華さには驚かされます。身分を越えた恋と今でも言い伝えられているエドワード8世とシンプソン夫人はここで逢引を重ねていたそうですし、若きチャールズ皇太子が宿泊した部屋も見ることが出来ます。
映画「英国王のスピーチ」をご覧になりましたか?1936年に亡くなった英国王ジョージ5世のあとを継承したエドワード8世にはシンプソン夫人という恋人がいたのですね。王冠よりも離婚歴のあるアメリカ女性を選んだ彼の代わりを務めなくてはならなくなったジョージ6世には吃音というハンディがありました。この映画ではそのハンディ克服を支えた妻エリザベスをヘレナ・ボナム・カーターが演じ、ジョージ6世役のコリン・ファースはアカデミー男優賞に輝き、映画自体も最も権威のあるアカデミー賞作品賞を受賞したのです。
グローチェスターシャー、コッツウォルズ北部のヒドコートマナーはアメリカ人のガーデナー、ローレンス・ジョンストンからナショナルトラストに譲られた300エーカーもあるプロパティーです。彼の母親が1907年にこの地を購入して以来何年もかけてこの美しいガーデンを作り上げました。ちまちまさがなくワイルドで大胆な植栽の配置やカラーリングに目を奪われ、立ち止まってしまう事もある素晴らしい庭。ガゼボやガーデンアクセサリーもハイセンス。ガーデンレストランでは小奇麗で野菜たっぷりの健康メニューも楽しめ、かなりお勧めの場所です。
エリザベスは夫のジョージ6世が1952年、57歳という若さで亡くなってからも、2002年に101歳というご長命で天国に旅立つまでその愛国心とひととなりで英国王室ナンバーワンの人気でした。第2次大戦の時も爆撃を受けながらもロンドンで国民と友に戦った様子が今でも語り草になっているほどです。
ジョージ6世と妻エリザベスには2人の女の子がありました。映画の中でも幼い2人が登場しますが、この長女がエリザベス2世で父ジョージ6世の後を告ぐ今のエリザベス女王になるのですが、この時1952年には彼女はまだ26歳。父の遺志をうけ、英国女王として戴冠式に臨むのが1953年となるのです。
ダービーシャーに建つハードウィックホールは1590年から1957年にかけて建てられたマナーハウスで館内にはさまざまな美しいタペストリーがかけられていて、その大きさと華麗さに驚かされます。建物のガラス窓の大きさ、多さにも領主であったべスオブハードウィックの豊かさ、富豪ぶりが現れています。屋敷に隣接するハーブガーデンは4こまに仕切られていて、各ガーデンごとに手入れが行き届き、充実しています。仕切り通路の芝生にある白いベンチに座ってふっと物思いにふけるのも楽しい場所です。
英国のアンティークショップで見かけるコロネーションと呼ばれる品々はこのような王室のけじめの年に出される記念品であり、お土産品だったのです。辞書でCoronationを調べると「戴冠(式)、即位(式)。英国Westminster Abbey で行われる国王戴冠式.」とあります。 1911年のジョージ5世戴冠記念、1937年のジョージ6世戴冠記念、1953年のエリザベス女王戴冠記念、治世の長いエリザベス女王には節目ごとに陶磁器やガラス製品が作られているのです。このコロネーショングッズの収集を趣味にしている人や仕事にしている人が一杯いる英国も‘らしく’ていいですね。
カラフルな陶磁器は少々マンガチックですが、ガラス器はとても上品で美しく、日常の暮らしの中でフルーツを持ったり、ビスケット用に使ったり、アクセサリーや時計を置いてみたり、ナッツやドライフルーツを入れたりと色々用途があり楽しいのです。ビスケット缶もいろいろな種類があるので集めていくのもワクワクしますね。英国での一大事に作られたコロネーショングッズを使いながら英国皇室の歴史を調べ、ひもといていくのは英国好き、英国びいきにはたまらない楽しみになることでしょう。Please Try !
バラのモイストポプリを作りましょう!
ポプリとは?... 花に、ハーブやスパイス、香料を混ぜ合わせ、さらにそれを瓶やポットの中で熟成させた香りの事です。数種類の材料を混ぜる事(ブレンド)によって、香りに複雑さが増し、深みが出てくるわけです。
* POT-POURRIとはフランス語の料理用語で、混ぜるという意味です。
モイストポプリは乾燥させて作る一般的なポプリと違い、塩の保存効果と精油により材料を熟成させ、香りを持続させる製法です。エリザベス朝時代に英国で始められた伝統的なポプリの作り方です。
材料:
主材料(バラの花びら5,6本分)
食塩(500グラム程)
副材料(バラの葉、ゼラニウム
月桂樹、ローズマリー、ラベンダーなど香りの良いフレッシュハーブ
スパイス、果物の皮など適宜)、精油(オレンジなどお好みで)、保存容器(ガラス瓶など)
作り方:
1. 副材料に精油2,3滴を落とし大匙2杯ほどの塩と混ぜておく
2. 瓶の中に塩->主材料->(1)->塩->主材料->(1)塩...という順番に3回程詰めて、最後に塩が来るようにする
3. (2)の上に精油を2,3滴落とし、密閉して1ヶ月ほど冷暗所で寝かせて熟成させる
4. 熟成した物を瓶から出し、良く混ぜ合わせ、陶器やガラス器に盛り、楽しむ
* 塩もポプリなので捨てたりしないように!瓶の中、すべてがポプリです!