「横浜骨董ワールド骨董縁起帳」

ようこそカントリーショップへ

英国の小さなお店がトレンドです


厳しかった冬が去り、ワクワクの美しい春爛漫です。新芽が出て、お花は咲き誇り、木々の緑がさわさわと増えると嬉しい季節。いつもこの時期は英国への買い付けに当たるのでなおさら心弾む「英国の春」なのです。寒い冬が長く、日照時間も少ない英国の人たちにはひときわ嬉しい春の到来です。

仕事がら英国の田舎や小さな町に行く事が多いので、いろいろな所で季節感の感じられるウインドーディスプレーが楽しい素敵なお店を見つける事があります。ショーウインドーはお店の雰囲気や店主の思いいれを表現するキャンバスみたいな物。ナイスショットをためてウインドーコラージュを作るのもいいですね!

そんな英国のお店の中でちかごろひときわ目立ってきたのが女性や家族、少人数できりもりするお菓子やさん、ティーショップ、レストラン、ホテルや雑貨屋さん、そして楽しくて沢山お勉強のできるクラフト&ソーイングショップです。ショップというよりもスタジオと呼んだ方が相応しいかしら?地元で紡がれた毛糸や織られた布地を使い、手染めをしたり、丁寧に扱われたひとつひとつの小物が大切にディスプレーされ、手に取ってもらうのを待っている姿が心が休まりますね。

長年購読している英国の雑誌「COUNTRY LIVING」の4月号には「Kitchen Table Talent」というコーナーがあり、今回のタイトルは「Start your DREAM BUSINESS Open a bookshop」でした。紹介されているご夫婦のお店の看板には「THE MAIN STREET TRADING COMPANY BOOKS and GIFTS」と書かれています。その名の通り、本を販売しながら、カフェも運営。そしてお帰りにはギフトも調達できるという楽しく便利なお店なのです。奥様が本屋さんを営み、ご主人がエプロン姿でカフェを切り盛り。そこに集う人たちはご近所さんが勢ぞろい。小さな子供をスナグリで包んだ新米ママさんはほっと一息の時間を求めて、シニアーのご婦人たちは集まりの場として、道路で働くお兄さんも休憩時間をとって本の物色と暖かい飲み物を求めて。

ちょっとしたプレゼントを探してドアを開ける人も。町や村で暮らす人の生活の一部となっているような小さなお店が英国では増えています。「COUNTRY LIVING」ではお店のプランから運営までを解説、そしてアドバイスしながら、これから小さなお店を立ち上げようとしている人へのアイディアを投げかけています。

ふと訪れた田舎のアンティークショップでの事。手染めの毛糸で編まれた小物入れと可愛いドレスを身につけたお人形達を見つけました。お店の人に聞いてみると、近くに住む女性が自分のブランドを立ち上げ、商品の販売を始めたとの事でした。ブランドの名前は「retrouve」、フランス語を日本語に「思い出」とでも訳したら良いのでしょうか?キッチュなカラーの小物入れについているタグにはこんな風に...「Blackberry case hard knitted in 100%wool vintage fabric and embroidered button」。携帯電話ケース様にデザインしたのですね。ウールのしっかりとした編みと年代を感じさせる趣あるファブリックの裏地。クルミボタンにはお花の刺繍までというラブリーな仕上げなのです。一緒に販売していたお人形はセルロイドで子供の頃を思い出します。こちらのタグには「Vintage celluloid doll, cotton dress ,pure wood cardigan, vintage button」とありました。ドレスのデザインは丁度私が小さい頃にはやったフレアースカートに袖なしのサマードレス。ウエストまでの短めのカーディガンの色も形も可愛い!どちらも手作りならではの色彩や風合いで手に取ると作者の暖かい気持ちが伝わってくるようです。小さな町の手作りビジネスに魅了され、KATY’S HAYAMAでも好評に販売させて頂きました。

英国と言えばリバティー百貨店!「retrouve」の小物入れの裏地や人形のドレスもビンテージのリバティープリントでした。ロンドンのリバティー百貨店の創始者であるサー・アーサー・リバティ氏が、1862年のロンドン国際見本市で日本館の出品に心ひかれ、東洋の輸入品を扱う店を始めたのがすべてのはじまりでした。英国ならではの植物や花柄と東洋趣味な色あいやデザインの作り出すエキゾチックで特徴的なテイストが素敵です。今でも限りないデザインが生み出され、すべてのプリントに名前が付けられ、わたしたちの目に触れ、楽しませてくれます。

英国ではこのようなビンテージプリントと一緒に1940~1950年代に使われたボタンや針、メジャーや裁縫用具をシャドーボックスの中にアレンジして楽しむ事がトレンドになっています。さびてしまったけれど形がかわいい鳥型のハサミやユビヌキも一緒に箱庭の様にアレンジして出来上がる芸術品。いろいろ工夫して作ってみるのも楽しいですね。

随分前の事、ロンドンのリバティーデパートを訪れると大きなアジアの瓶がディスプレーされていて、リバティープリント三昧のかえるちゃんたちが瓶の口から今にも出てきたように置かれていました。すごーく可愛いのでKATY’S HAYAMAかやの木テラスワークショップでもかえるちゃんたちを製作しました。みんなで集まって手縫いでチクチク。おしゃべりも進み、作業後のティータイムも格別です。葉山の小さなお店、カントリーショップの醍醐味ですね。作り方や型紙はこちらです。どうぞ英国のトレンドに触れてみて下さい。