「横浜骨董ワールド骨董縁起帳」

英国でも親しまれているピクルスを彩りの良い野菜とゆで卵で作りましょう!


英国、特にカントリーサイドで一般的なマーケットはおもに週末、町の中央広場で開かれます。近隣の農家から運び込まれたキラキラ輝くヤサイたちや焼きたてのパンやケーキ、畜産農家からは地域特産のチーズやバターにワクワク!まるでその土地の住人のような顔をして買い物するのはとても楽しみです。

その昔は英国と言えば茹で過ぎた野菜というイメージでしたが今はフレッシュでカラフルな野菜たちが町中に出回るのでお料理の幅もどんどん広がっています。これもECに加入した恩恵かと思いましたが、実際の野菜の自給率もかなり高いとの事でした。田舎の広大な広さの農地で栽培されるピカピカの野菜たち、想像するだけでも野菜好きの私には生唾ものです。

いつも訪れるニューアークでのアンティークフェアー。舗装された道路のすぐ横に広がる草いっぱいの土地には小さな小屋がマッチ箱を散らしたように無秩序に並んでします。朝早く通りかかるとしーんと静まりかえっていますが、昼過ぎにはあっちもこっちもニワトリだらけ。自由気ままに暮らすニワトリたちは夜にはこの小屋で休み、昼間は広場に出て餌や虫、葉っぱを噤み、のびのびと一日を過ごします。先日、日本のテレビに映ったニワトリ達は狭い棚のようなものに並んで餌を食べ、好むと好まざるとにかかわらず栄養をつけ、タマゴを産み、暮らしていました。この2箇所のニワトリの産んだ卵の質は絶対に違うと思います。

冬の寒さが厳しい為、夏場に沢山とれた野菜や卵の貯蔵として始まった英国のピクルス。ピクルスという言葉はピクリング(漬ける)という意味で当初は塩で豆を保存するための方法でした。ビクトリア朝に入ってからはお酢が使われるようになり今のピクルスに近い物になってきたようです。ハム、ベーコンやチーズに添えたり、サンドウィッチに使ったりが一般的で英国ならではのパブでは「プラウマンズ・ランチ」(農夫のお昼ごはん)として親しまれています。又、パブのみならず家庭でも作られ、重宝されているのがPickled egg(タマゴのピクルス)。自由を謳歌し、運動を欠かさず、ストレスのないニワトリたちが産んだタマゴを使ってのピクルスは立派なイギリス料理。

とはいえ、旧来のピクリング作りは真空処理があったり、手間のかかる事が沢山。どんな野菜も身近なスーパーマーケットで買出しのできる現代には貯蔵は必要なし。スピーディですぐにいただけるおいしいピクルス作りはいかがでしょう!:

簡単にできるおいしい ピクルス
材料:
ゆで卵、きゅうり
セロリ、ニンジン
キノコ、玉葱
ピーマン各色
月桂樹の葉
センテッドゼラニウム
パセリ、バジル等
  お好みでミツカンマリネの素
オリーブオイル 少々
バーブソルト 少々
蜂蜜または三温糖 お好みで

作り方:
タマゴはゆでておく。野菜は生のままカットする。材料を全部一緒にピックルス用のビンに入れ、ミツカンマリネの素、オリーブオイル、ハーブソルト、蜂蜜をいれ1,2日お好みで漬け込む
* 材料のバラエティー: 大根、しょうが、にんにく、レンコン、プチトマト、かぶ 等
* ゆで卵は沸騰している熱湯にお酢を入れ、そこに室温の生卵をひとつづつ丁寧にいれる。7分後に静かにひきあげ、冷水につけると、剥きやすく失敗のないゆで卵の出来上がり
* 保存可能期間はおいしいので一日でなくなる為、いまだ不明

手をかけたピックルスのベースビネガーの作り方(保存用)
材料:
ホワイトワインビネガー カップ5
粒白コショウ、粒黒コショウ
粒コリアンダー、粒ジュニパーベリー各品大さじ1
ベイリーフ 6枚、ナツメグ 6個
スターアニス 4個、クローブ 4粒
キャラウエーシード、フェンネルシード
マスタードシード、クミンシード 各品小さじ1
お好みでハチミツ
作り方:
すべての材料を鍋に入れ、煮立ったら弱火にして10分ほど煮詰める。さましてからスパイス類をこし器でこす。(見るスパイスを楽しむ為にそのままでも良い)ビンにビネガー、お好みのヤサイを入れ、真空処理をする。
真空処理:
大きな鍋にビンを入れ(ビンのフタは余りきつく閉めないこと)、お互いがぶつからないようにリネンなどをはさんでおく。ふたの上まで5センチくらいまでぬるま湯を入れ、火にかける。火加減を注意しながら10分ほどおくとビンの中が真空状態になってくる(キャップの中心がくぼんで見える)火を止めて、自然に冷やす。(急に冷やすとビンが割れるので注意)冷暗所で2ヶ月ほど保管可能。
英国の春から夏はピクニック!ピクルスが出来上がったらお好みのチーズ数種類とオーガニックなブレッド、そして熱々の紅茶を保温ポットに詰めて出かけます。ロンドンなら水仙やクロッカスが咲き乱れるハイド・パークやグリーン・パーク、花壇の美しいセント・ジェームズ・パークがお勧め。ブランケットを広げてのランチピクニックなんて素敵ですね。
カントリーサイドにお出かけのときは本格的にピクニックチェアーやテーブル持参、食器やグラス、カトラリーも本物を用意すると我が家のダイニングが郊外に出現、すこぶる心地よい空間となります。横浜の根岸森林公園、港の見える丘公園もピクニックには最適。広々とした景色を目の前にして、ちょっとはじめは人目が気になるかもしれませんが「外ご飯」の醍醐味を知ってしまったらそんなことはなんのその。
葉山でのビーチピクニックはいかが?車は大浜駐車場か三ヶ丘にパークして海岸に下りてみましょう。さわやかな海風が頬をなでてとっても幸せ!帰りがけに湘南国際村まで足をのばせば旬の地元野菜が購入でき、次回のピクルスピクニックの準備も完了。さあこの週末はピクニック!ピクニック!
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