洗いざらしの気持良い、ほかほかのリネンたちとの出会いはいつだったでしょう?確か私が中学生の頃、元町に綿一(めんいち)という小さな布地屋さんがありました。元町のメインストリートを入ってずっと進み、スーパーマーケットのユニオン、たつのおとしごマークのフクゾーやご贔屓の靴屋さん森ブラを過ぎ、ケーキの喜久屋さんの少し先にこの綿一さんがありました。今は姿を消してしまった元気の良かった八百屋さんの並びだったと思います。
小さい頃からお裁縫が好きだった私が学校帰りに必ず覗くお店は間口90センチ、中もひと坪ほどの小さなパラダイスでした。元町とはいえ高級布地ではなく、コットンやリネンのプリント布やハギレ布を主とした可愛いお店で、その日のお買い得品バスケットには元町らしいエキゾチックな風合いの可愛いピース布たちが並んでいました。商っているのは人の良さそうなおじさんとおばさんで赤い襟のセーラー服の女の子たち(私と友人たち)を毎回笑顔で迎えてくれました。
そのお買い得バスケットの横に無造作に折りたたんで並んでいたのがリネンやコットンのティータオルたちでした。最初は何をする物かわかりませんでしたが、おばさんが「お弁当を包んだら」とか「こうやってエプロンを作るのよ」と色々教えてくれました。その当時の私にはおとなになって英国の仕事をし、ティータオルを山のように扱う身になるなんて想像もつきませんでしたが、これがご縁の始まりだったように思えます。好みの柄を見つけては買い求め、エプロンやバッグを作ったり、自分の部屋の壁に貼り付けてうっとりしたりと楽しんでいました。今思うと綿一さんのティータオルは日本製の輸出向けがほとんどだったようで今現在私がキッチンで使っているアイリッシュリネンとは別物だったように思いますが。とにかく綿一さんが私のリネンへの初めの一歩に変わりはありません。
大学に入った頃、親友が英国に短期留学。そのときのお土産が正真正銘のアイリッシュリネンでした。バッキンガム宮殿の衛兵たちが行進している絵柄だったと思いますが、大判で糊のきいたカチカチの布でした。小さい頃から英国の童話を読み、映画を観たり、紅茶を楽しむ暮らしはしていたものの、糊の感触やロンドンの香りが肌で感じられるティータオルを手にして、なぜかブルブル震えてきたのを憶えています。ティータオルに打たれた!という感じでした。衛兵たちのティータオルがそれからは毎日のお弁当包みであり、テーブルクロスであり、お皿拭きになりました。そうこうして、洗っているうちに糊がとれて、衛兵たちも肌触り抜群のしんなりプリンスに変身。リネンってこうゆう物なんだ!と実感しました。
英国の観光名所やナショナルトラストのガーデンやお店に行くと必ず販売しているこのティータオルはコットン(綿)とリネン(麻)が主流ですがやはり使いやすいのは麻。リネンのティータオルはデザイン、絵柄も楽しく、実用性もあり、集めるのも使うのも楽しいですよ。まずは糊のきいたパリパリをテーブルにかけてティータイムを楽しみ、何回か洗って糊が取れてきたらお皿拭きにとずっと長く使えるリネン(LINEN)の語源はラテン語のLINUM。このリナムが古代英語として使われ、今はリネンとなったようです。
リネンはソフトで肌の弱い人にも優しく、吸水性にも優れているため「ランジェリー」(下着)の語源にもなっています。数ある天然素材の中でも汚れが落ちやすく、洗濯にも強く、使うごとにその風合いと柔らかさが増すという点も重宝がられたポイントでしょう。
とは言え...麻と言ってもいくつかの種類があり、ヨーロッパを中心としたリネン(亜麻)、フィリピンや中国でとれるラミー(芋麻)、日本やイタリアなどのヘンプ(大麻)、バングラディッシュやインドでのジュートヘンプ(黄麻)に分類されていますがやはり最高級品はアイルランドの特産品としても知られるリネンです。アイリッシュリネンは古くからヨーロッパの上流社会や社交界で使われ、セレブリティーから愛されてきました。
リネンを初めて使い始めたのは紀元前むかしむかしのエジプトと言われていて、人類の作り上げた最初の繊維とも言われています。当時「WOVEN MOONLIGHT」と呼ばれていたリネンは祭事や神事に使われ、現在に残されている古代エジプトの絵画に描かれている白い衣服はリネンだったということが研究で実証されているそうです。リネンの着心地の良さや丈夫さ、使いやすさは昔から愛されていたのですね。リネンを初めて使い始めたのは紀元前むかしむかしのエジプトと言われていて、人類の作り上げた最初の繊維とも言われています。当時「WOVEN MOONLIGHT」と呼ばれていたリネンは祭事や神事に使われ、現在に残されている古代エジプトの絵画に描かれている白い衣服はリネンだったということが研究で実証されているそうです。リネンの着心地の良さや丈夫さ、使いやすさは昔から愛されていたのですね。リネンを初めて使い始めたのは紀元前むかしむかしのエジプトと言われていて、人類の作り上げた最初の繊維とも言われています。当時「WOVEN MOONLIGHT」と呼ばれていたリネンは祭事や神事に使われ、現在に残されている古代エジプトの絵画に描かれている白い衣服はリネンだったということが研究で実証されているそうです。リネンの着心地の良さや丈夫さ、使いやすさは昔から愛されていたのですね。
さて、時代はもとに戻って現代!葉山の我が家です。毎日のキッチン仕事やお料理のクラスに使われているリネンを数えてみました。今現在使用中が150枚ほど、リネンチェストの引き出しに入って出番を待っている新品の子達が50枚ほどでしょうか?アイリッシュリネンなしの生活なんて考えられない私の暮らしです。
リネンの繊維に含まれるペクチンがまろやかでソフトな触感を与えてくれ、心地良く、お皿やグラスを拭いても毛羽はつかず、スムーズに美しく仕上げる事ができます。でも最初は糊がきいていてパリパリというのも忘れずに。この糊が結構頑固でなかなか取れないので苦労してしまいますが、あきらめずに何回もじゃぶじゃぶお洗濯!毎日洗濯機の中で泳いでいるうちにちょうど良い使い心地に。我が家では心地良い以上に熟成して向こうが見えるくらいに薄くなってしまった子達も...こうなるともう可愛くて、いとおしくて、もったいなくて使えなくなり、折あるごとく引き出しから出してきては、「う~ん。良い感じ」と眺めたり、触ったり。勿論捨てたりはしませんよ。このままずっと引き出しの中の住人となり、折りあるごとに登場!私に幸せを与え続けてくれる事でしょう。