毎日の暮らしの中で古き良きものをおしゃれに活かし、美しく豊かな生活を提案します。


Enjoy Great Britain

大英帝国の不思議を楽しむ



 

なんで英国が好きなんですか?と沢山の方に聞かれます。私の英国好きは子供の頃に読んだ童話や物語からスタートしました。ベアトリクス・ポターのピーターラビット。 おとうさんがマグレガ-さんの畑で捕まって、お肉のパイにされたなんて、その残酷な事。でも物語の中にはおいしいお菓子やティータイムが一杯でした。不思議の国のアリスはその物語の中で英国のお茶とティータイムの過ごし方を教えてくれました。何しろ一日に7 回はお茶を飲むというお国柄、 昔の本にもお茶は胃の調子を整え頭痛を和らげ、心身共にリラックスさせると述べられています。アリスは物語の中で奇天烈な人達と沢山のティーパーティーを楽しみます。くまのプーさんはそのお話よりも何よりも、蜂蜜とマーマレードの虜になってしまいました。でも子供の私には当時のマーマレードは苦く感じられたので、この味は大人の物と勝手に思い込み、早く大人に成りたいなーと思っていました。フランシス バーネットの秘密の花園に登場するメアリーはヨークシャーの祖父のマナーハウスに引き取られました。突然孤児になってしまった彼女を力づける若いメードのマーサや彼女の母親のおいしいお料理やお菓子。 一番好きなお話はケネス・グレアムの「たのしい川べ」です。個性の強い4匹の動物モグラ、ネズミ、ヒキガエル、アナグマが英国の階級社会そのままに登場し、冒険、道徳、友情、ファンタジーの含まれたお話が続いていきます。原題、「The Wind in the Willows」という韻を踏んだ題名も素敵です。動物を擬人化したお話でも、子供のお話でもその生活ぶりは英国そのものでおしゃれ!ミニケイティーはカントリーサイドでの美しいリッチな暮らしを想像の中において楽しんだものです。

C. S. ルイス



いつもワクワクしながら読み、眺めていたファンタジックなお話はC. S ルイスのナルニア国物語でした。叔父さんの家に預けられたルーシーはその大きなお屋敷を探検中にナル二ア国に続く洋服ダンスを見つけてしまいます。タンスを通りぬけてルーシーが行き着いたのは真冬のナル二ア国。そこで初めて出会いお茶をご馳走になったのが半獣半人、フェーンのタムナスさんでした。タムナスさんはやわらかく茹でた卵、オイルサーディン、バター、 蜂蜜と3種類のトーストとお砂糖がたっぷりかかったお菓子を食べさせてくれました。そしてビーバーさんの家では川で採ったばかりの新鮮なますのソテーとデザートのマーマレードロール。勿論たっぷりと濃くいれた紅茶も。 森の中ではファーザークリスマスとも出会います。チビケイティーは初めて耳にするミンスミートパイを想像しながら、物語の中で何回もむしゃむしゃ頂きました。我が家にもあった大きな洋服ダンス。父のスーツやコート、母の晴れ着の掛かったタンスの内張りはいかにもミステリアスな紫色のプリーツでした。用事もないのに扉を開けたり閉めたり、友達と一緒のかくれんぼには私の特等席でした。大きなタンスの中から続くであろう未知の世界は大人になった今でもわくわくします。そしてどの物語にも必ず出てくる温かくおいしいティータイムは私を大の紅茶好きにしました。

ワーズワースのポエム



高校生になってから毎日の楽しみになっていた学校の図書館通いでふっと手に取った詩集はウイリアム・ワーズワース。ページをパラパラとめくっていくと「水仙」という詩にめぐりあいました。ワーズワースが山歩きをしている時にはっと目に入った黄金色に輝く黄水仙の群れは風にゆられて踊っているように見えました。天の川の星たちのように途切れる事なしに続く黄水仙たちが踊っているようでした。小川のさざ波までが一緒に踊っているように見え、このときの光景はそれからというもの、彼の気分が沈んだ時、悲しい時に思い出され、蘇り、心には其の時の興奮と喜びが満ち溢れ、水仙の群れと一緒に踊りだしたそうです...このような意味なのですが、セーラー服の私にはあーそうなんだ、凄く綺麗だったのだろうなーという感じだけだったと覚えています。 大人になって英国をたびたび訪れるようになりこの時のワーズワースの詩が自分の感動と共に蘇りました。アンティーク買い付けや取材の仕事の合間に立ち寄るようにしているナショナルトラスト所有、カントリーサイドのマナーハウスには広大な敷地がひろがっています。ワーズワースを真似て散策してみると、道すがら遭遇する黄水仙の群れは人間と同じ様に血が通っていて、考えながら、そこに咲き競っているような錯覚に陥ります。風がふっと吹いた時にゆれる姿はみんなでコーラスをしている様であり、踊っている様に見えます。これがワーズワースの感動だったのだと感じると私の心も踊り始めます。ワクワク、ドキドキ!大地のエネルギーを頂き、春に輝く黄金色の宝石たち。其の時の感動を私もワーズワースの様に忘れません。それ以来、詩の中のAnd then my heart with pleasure fills、 And dances with the daffodils.から頂いた言葉「心が踊る」と言う素敵な表現を日常に使うようになりました。

ライフ・ウィズ・ドッグ



「犬と一緒の暮らし」という言葉がそのまま当てはまるのが英国。 都会ゆえに住宅事情や生活様式がタイトなロンドンでもあちこちで静かにたたずむワンちゃんですからカントリーサイドに行ったら、犬のない暮らしなんてクリープのないコーヒー状態。 のんびりとした田舎の暮らしをより一層楽しくしてくれる、家族とも言えるワンちゃんたちなのです。 最近は日本でも愛犬はしっかり学校で教育、社会のルールを身につけてから一緒に暮らすというスタイルが定着してきましたが、英国ではずっと以前から愛犬教育は徹底していました。 ペットとして、家族としての犬たるもの、人間社会でどのように振舞い、暮らしたら良いのかを教えられます。アンティークフェアーでもワンちゃんを連れたディーラーたちが一杯。 トレーラーハウスの中でおとなしくご主人様のビジネスを見守っています。  そして、私たちの様な海外からのバイヤー以外の地元からのアンティーク好きな人たちの足元にもワンちゃんたちが。 こちらの方が足を踏んでしまわないかと心配し、遠慮してしまうほどですし、ご主人さまのアンティーク見聞をじっと静かに寄り添い、待っている姿はけなげ。車の中で待っていたワンちゃんが歩いてくるご主人様を見つけると、嬉しくて嬉しくて仕方なくって、尻尾をブンブン振っていてもワンワンほえたりしないでいる姿は立派!さすが英国の犬! 昔から猟犬や牧羊犬として人間の為に働き、一緒に暮らし、たくさんの友情を捧げてきた英国の犬達にはたっぷりの気品と美しさがあふれているのです。

ナショナル・トラスト‐1



少し前の映画になりますが「ミス・ポター」をご覧になりましたか?今では湖水地方と言えばビアトリクス・ポターとピーターラビットと言われるほどですが、彼女なりの苦しみや決断がそこにはあったのです。20世紀になってもまだまだビクトリア女王時代の封建制の残る英国では良家の女性が仕事を持つなど考えられない事でした。でもビアトリクスは小さい頃、避暑に訪れていた湖水地方で出会った動物達、ウサギやカエル、アヒル達を主人公にした絵本を作る事が夢でしたので父親や母親の望んでいるような結婚して子供を生んでの暮らしをする気持ちにはなれず、アーティーストとして生きる道を選ぶのです。 紆余曲折の末、ピーターラビットの本の売れ行きは驚くべきものになり、両親の反対を押し切り、本の出版を通して知り合った編集者のノーマンと結婚の約束をしたものの、彼は病死してしまいます。落ち込み、人生を捨ててしまいそうなビアトリクスには絵を描く事が残されていたのです。決心を硬くした彼女は両親のとめるのにもそむき、1人湖水地方へ。今も毎日観光客の訪れるヒル・トップと呼ばれる家に移り住みました。その後は著書から得る著作権使用料と両親からの遺産で地元の土地を買い上げ、美しい土地や景観が失われないように支援。彼女がナショナルトラスト創始者の友人でもあった為、この15の農場、4000エーカー以上の土地はすべて協会に寄付され、その後ずっと守られているのです。

ナショナル・トラスト‐2



ナショナルトラストに管理、運営されているカントリーハウスやマナーハウスの名称にはハウス、ホール、パーク、コート、アビーなどが使われていますが、建てられた時の由来や持ち主の好みから命名されたようです。豪華な建物には隣接する庭園が設けられ、その周りには家畜の飼料になるべく草原(パーク)が広がります。そこで草を食む羊の群れや遊びにやってくるウサギやリスを見ながら一日を過ごすのは至上の幸せですね。 ナショナルトラストのプロパティーにご興味がわいてきた方はどうぞ英国旅行の折には観光案内をチェック!是非身近にあるナショナルトラスト所有の建物や庭園を訪れて下さい。その際支払われる入場料がそれらの修理や保全に使われ、歴史的遺産を維持する為に役立てられるのです。追記ですが、邸宅訪問の時にあちこちで目にするシニアーのお世話係さん達はボランティアと聞きます。リタイアー後の時間をこんな風に使う英国の人たち、素晴らしいですね。英国の春、準備のできた球根たちが我先にと芽を出し、お庭にエネルギーを与えているのが伝わってきます。色変わりのポリアンサス、パンジー、ビオラ、輝くみどりの芝生。大きく息を吸い込んで、手を広げてみると寒くて縮みこんだ体に春のいぶき、オーラが近づいてきて、何かとっても澄み切った気分!とても幸せな気持ちになります。 ガーデンに併設された温室では、色々な種類の植物が所狭しと元気に育っています。その昔プランツハンターに連れられて、長い船旅の末、遠い英国にやってきた植物たちが可愛がられて、育つ様子をおセンチに考えたりと時間の経つのも忘れます。私達もナショナルトラストを是非サポートしていきましょう!

ティータイム



英国滞在中色々なところでティータイムを楽しみます。小さな町のティーハウスはかわいらしくてついつい立ち寄ってお茶を頂きたくなります。ロンドンのミュージアムやちょっとしたところにあるお店ではコンパクトなステンレスのポットが使われていて、熱々の紅茶が何杯か味わえるようになっています。シルバーのポットとは違い少々、チープな感じですが、おいしいお茶を淹れるという点では合格です。 何回か立ち寄ったことのあるリンカーンの町にあるティーハウス。坂の中ごろに ある古くて傾いているこのお店に入ると真っ白いレースのエプロンをかけた 若い女の子たちが手際よく働いている風景を目にします。ショーウインドウ にはケーキが何種類も入っていてみんなボリュームたっぷりでおいしそう! 勿論大きなスコーンとジャム、クロッテッドクリームも用意されています。 チェリーの入った美味しそうなチーズケーキをオーダーして紅茶の出てくる のを待つ間の幸せ!ほとんどの店が夕方5時で閉まってしまう中、営業しているこのお店にはお客さんが次々に入ってきます。窓際の席でしたので坂道を急ぎ足で行きかう人達をウオッチングするのも楽し!「ああ英国に帰ってきたのね」なんて感動しながらの大好きな時間。 黒いスラックスにシャツ、白いレースのエプロンをかけたブロンドの若い少女が運ぶトレーには待ち望んだおいしいもの揃い。白い陶器製のポットにはたっぷりの紅茶、そしてミルクジャグにはたっぷり入った冷たい牛乳。思い出すだけでも幸せな気持ちがあふれてくるティータイムです。

マナーハウス



英国にたくさん残っているマナーハウス。マナーハウスは皆さんご存知の貴族の館ですが、通常はロンドンの社交界に暮らす彼等がパーティーやハンティング、静養の為に建てた大邸宅と言うところでしょうか。たくさんの使用人を使い、社交に高じた時代もあったのですが、広大な敷地と屋敷を維持する事は困難な為、ナショナルトラストに寄贈したり、ホテルや結婚式場にしたりと、様変わりされ、今も多くが残されていますが寒い時期の営業や公開に限りがあります。 その中で今でも個人が所有、運営している為、1年中訪れる事が出来る Chatsworth は英国の人たちや私たち旅人を楽しませてくれています。英国ダービーシャーに位置するチャッツワースはデヴォンシャー公爵の館。ベイクウェルから車で15分ほどのところで、その広大な敷地にまずは圧倒されてしまいます。館の中に入り、見上げると天井に描かれたゴージャスな絵画にびっくり!公開されている部屋では歴史を物語る重厚な家具やこの館に君臨した人々の絵画、世界各地から集められた彫刻や銀器、陶磁器などを見られます。お庭の噴水や階段になった水路、数多くのガーデンも見とれて時間を忘れるほどです。 いつもこんなに素晴らしくて美しい館がクリスマスの時期にはより一層の手が加えられ、光り輝くイルミネーションと共に公開されています。貴族が集った特別の時間や豪奢なインテリア、しつらえを目の当たりにして、当時の生活を振り返って見るのも楽しいですね。

バーフォード, コッツウォルズ



英国の秋は元気な太陽に別れを告げ、これからやってくる暗くて寒い冬を迎えるというちょっと寂しい時期でもあるのですが、それ以上にクリスマスの気配があちこちで感じられワクワクとしてくる時期でもあります。春から夏の英国は日が長くお花がいっぱい咲き乱れ、ため息が出るほど美しいものですが、寒くなってからもしっとりとしていて、心惹かれるところも多いのですよ。 バーフォードは四季を通して、英国滞在中には必ず訪れる私一押し、ごひいきの町。一本のハイストリートの両側にぎっしり並んだ可愛いお店やおしゃれなブティック、ハイセンスな小物やさんもクリスマスのお化粧がされとても可愛い!この町も羊で栄えたところなので豊かさの残る美しい町並みと集会場のあとなどを見ることができます。ほっとひといきが楽しくなるティーハウスや美味しいパンを販売、レストランもしている歴史あるベーカリーなど軒を連ねています。小さな本屋さん、キッチン雑貨を売る店、可愛いお花やさんを覗いて見るのも楽しいですね。そしてメインストリートから少し入ってみると町の人たちの日常の暮らしに触れる事が出来ます。クリスマスリースの可愛い門構えやフェンス。レースのカーテンの飾り方がなんともラブリーな家。植木の刈り込みが素敵な家。ウインドーボックスの花や緑のバランスが絶妙な家。導かれて入った小道の裏手に流れるウインドラッシュ川にはアヒルが気持ち良さそうに水浴びを楽しみ、木彫りのデコイのようにプカプカ浮かんでいます。 お花の多い英国を皆さんが求め、訪れる気持ちも理解しますが、静かな冬に小さな町を訪れ、土地の人たちと楽しみを共有する事も素敵です。コッツウオルズのマナーハウスに泊まり暖炉から香る薪の香ばしさや炎の誘惑に体の力を抜いて身を任せてみるのはいかがでしょう?本当に英国の魅力はこんなところにあるのかも知れませんね。

アンティークフェアー



英国では年に何回も大きなアンティーク・フェアーがひらかれますが、ほとんどが野外プラステントや小屋の中。勿論フェアーのアンティーク屋さんの人たちとは長い間のお馴染みさん。私の一番の仲良し、クレアは「英国びいき、葉山暮らし」にも登場していますが大柄で髪の毛たっぷりの思いやりのある楽しい女性です。がっちりとした姿にはさすがの私も小柄に感じてしまう程。彼女との出会いはずっとずっと前の事。今は小規模になってしまったあるフェアーでドイリーやリネンを販売している彼女に目が留まりました。品揃えが洋裁材料や私好みの同じ時期に開催される他のフェアーでも彼女の店はお気に入り。そのうち、色々と世間話をするようになり友達に。ポーリーンとリチャード夫婦はジョークたっぷり。いつもニコニコのピーターとしっかり物のサリーはちょっと年上のイタリアン。ケイトは小柄で可愛い女性。旦那さんと息子のオリバーと家族全員でアンティークの仕事をしています。ピーターとパートナーのテリー。ピーターは昔、関西に赴任していたビジネスマンで背が高く、甘いマスク。テリーは紫やピンクの似合う2人です。マナーハウスにあるような重厚なタペストリー額や彫りの美しい物を扱っているのですが、少々高価。こうして思い出していると、話題の尽きないアンティーク屋さんたち!みんな良い人だけれど、それぞれちょっと不思議な臭いがするかしら。 そしてみんな私の持っていくチョコレート、キットカットが大好き。キットカットを配りながらの世間話は私の楽しみなのです。キットカットと言えば、Mr. ハロー。いつも私が彼の店に入っていくと「ハロー!」と高音の黄色い声で挨拶してくれます。そこで私が彼につけたニックネームがMr.ハロー。彼が私にくれたニックネームはなんとMs.キットカット。領収書のあて先にもMs.キットカットですって。いやはや本当にアンティーク屋さん、Nice Peopleなんですよ。今度みんなに会う時まで新作キットカットを探さなくっちゃ!