毎日の暮らしの中で古き良きものをおしゃれに活かし、美しく豊かな生活を提案します。

Katy's Style

ケイティー・スタイル

        

アンティークは季節感には関係ありませんし、特別いつが良いとかいうのもありませんが、ふと家の中が気になりだし、家具を動かしてみたり、小物を出したり入れたり、「なんか素敵な事しなくっちゃ!」が始まります。いつもアンティークに囲まれた暮らしをしている私ですが、英国の古い家並み、雰囲気のあるティーハウス、何百年も時間が止まっているかの様な街並みがいつも懐かしくなり、「やはり古いものはいいわー」と痛感してしまうのです。

ある時、葉山にいらした方は私の仕事がカルチャースクールの先生やコーディネーターと思っていられたらしく「アンティークも沢山お持ちですが、お好きなんですか?」と聞かれました。勿論私のもともとの仕事は英国からの生活骨董品を自分自身のこだわりを持って皆さんにお分けするのが仕事とご説明しましたが。  そのこだわりとは、昔から大切にされてきたものを使わせて頂く喜びを大事にするという事。その一つ一つを今の生活の中で素敵に役立て、楽しむ事をより沢山の方にご紹介する事。生活道具として作られたものの人生(?)をそのままに、実際に生活の中で使い、喜ぶという事なのです。 英国で使われていた生活骨董品は何も日本までやって来るとは思わなかったでしょう。私に連れられて海を渡り、葉山まで到着。そしてどなたかのお目に留まり、見初められ、大事に新しいお家に喜ばれ、迎えられいくのはアンティークならではの素敵な出来事です。 暮らしの中に英国生活骨董があるってワクワクします。日本の古い家具や食器と合わせてもしっくり。だって...所変わっても同じ時代に生きていた朋友ですから。アンティークのある暮らし!そんな重みのある上質な暮らしに目を向けてみませんか?

生活を楽しむ家



私の家のある神奈川県、葉山町は温暖とはいえ、毎年冬には雪も降るし、霜が降りたり、氷がはる事もあります。ただ都会のようにビルの谷間を吹き抜ける冷たい風や日陰に覆われるという事がないので、かなり暮らしやすい気持ちになります。それでも底冷えのする冬の夜には薪ストーブを焚き、炎を楽しみ、春の訪れに思いをはせる…何回繰り返しても、楽しく心のワクワクする瞬間です。

中学校でならったでしょう?「Spring has come」は現在完了形。今まさにこうなった!という意味ですね。春って待っているときには姿を隠していて、ある日突然やって来ては私達を驚かせてくれるものかもしれません。突然にウグイスの声を聞いた時、お庭の地面を割って精一杯背伸びして、頭を出した球根たち、秋に落葉して裸んぼだった木々から新芽が吹き出しているのを見つけた時、春の突然の到来にびっくりします。そんな時はいつもこの「Spring has come」をぶつぶつとつぶやき、手紙やメールの季語に頻繁に使い始める私です。 門扉や玄関は家の顔です。玄関とは古来、仏教語で玄妙な道に入る関門という意味。そして玄妙とは幽玄で細やかな美しさや趣のあることだそうです。 外からも見える我が家の顔であるシンボルツリーは大きなやしの木です。どうしてここに?お庭に?と思うような立派なやしの木。くすのき、しゃらの木、もみじ他沢山の常緑樹、落葉樹を従えて我が家の庭に君臨する美しく趣のある王様です。

四季の贈り物



わが家の庭はどちらかと言うと和風プラス英国テイストとでも言いましょうか。花木の多いオールドスタイルにハーブや草花、グリーンを配したケイティー流ガーデン。

冬の椿、さざんかの勢いが亡くなる頃やってくるスプリングブレークは黄色くてかわいい、ホワホワしたミモザからスタート。三つ葉ツツジ、迎春花、モクレン、こでまり、おおでまり、シャクナゲ、そしてツツジ、カルミヤ、サツキ、マンサクと続き、紫の紫陽花が梅雨の静かな静寂を連れて帰ってくるまで賑やかに咲き誇ります。小さな名も知らない草花たちやハーブの花、スノーフレーク、ムスカリ、チューリップ、クリスマスローズ、ビオラ、パンジー、ノースポール、 ポリアンサスが色とりどりに春を競い、目を楽しませてくれます。じっと庭のベンチに座り、小鳥の鳴き声や空気の流れ、風の香りに触れていると時間の経つのも忘れてしまいます。 庭の植物にとって大事なのは毎日の水やりと輝く太陽だけではありません。植物と一緒に暮らし、いとおしみ、愛する心無くしては正真正銘のグリーンサムとは言えません。命あるものを大事にする心は親から、大人から子供達、社会に伝えていきたいものです。

手作りのすすめ



カルチャーセンターでのクラス「ケイティーのおしゃれ生活しませんか?」のカリキュラムはお料理とフラワーデザインとお裁縫が必ずセットになっています。

これには私のポリシーである、日々の暮らしを手作りで嬉しく、楽しくという気持ちが込められているのです。手作りされた縫い物や編み物の作品は素朴でありながら輝き、 美しさにあふれていますが、何よりも作り上げている時のゆっくりとした時間の流れと、幸せ感が醍醐味なのです。日ごろ忙しく、考える事も多く、追いかけられているような毎日の中にちょっとだけ、手作りの時間をとってみませんか?気持ちが落ち着き、さっきまでとがっていた心が温められ、丸く癒されるのが感じられます。やりかけの手作り仕事にはお気に入りのバスケットを用意。いつでもこの至福の時間が持てるようにしておきましょう。バスケットの中から顔をだしているハサミや編み針、布や毛糸はそれだけでもくつろぎのオブジェに見えます。でもね~、 やはり手仕事は苦手という方...「Habit becomes second nature」(習慣は第二の天性)と言うじゃないですか!まずは雰囲気作りから、そして少しづつ!手作りのすすめなのです。

ピクニック



朝の光と小鳥達の声で目覚めた週末の朝は庭での朝食。スコーンの焼ける間、花々の様子を見ながらトーストラックに準備したカリカリトーストにベリージャムをたっぷりつけたつまみ食い。外の空気をおもいっきり吸います。折りたたむ事の出来るオーク製のパイスタンド(私の命名でおかもち)はとてもラブリーで使いやすく、気持ちの良い場所を見つけてプライベートな空間を演出してくれます。
春からはピクニック!お手製のピクルスやお菓子、キッシュ、お好みのチーズ数種類とオーガニックなブレッド、そして熱々の紅茶を保温ポットに詰めて出かけます。勿論自分の家の庭でもOK。ロンドンなら四季折々のお花が咲き乱れるハイド・パークやグリーン・パーク、花壇の美しいセント・ジェームズ・パークがお勧め。ブランケットを広げてのブランチピクニックなんて素敵ですね。 カントリーサイドにお出かけのときは本格的にピクニックチェアーやテーブル持参、食器やグラス、カトラリーも紙コップや紙お皿ではなく本物を用意すると我が家のダイニングが郊外に出現、すこぶる心地よい空間となります。 葉山でも身近にある公園はピクニックには最適。広々とした景色を目の前にして、ちょっとはじめは人目が気になるかもしれませんが「外ご飯」の醍醐味を知ってしまったらそんなことはなんのその。 とは言え...うちの庭(ベランダでもOK)でのピクニックが一番!ちょっとした空間を見つけてテーブルをセットアップ、テーブルクロスを広げ、お花を飾り、Let’s have a Picnic!

好きな映画を通して見る英国



*19世紀から20世紀の文化がわかるこんなストーリーや今どきの英国がわかる映画はいかが!?
*プライドと偏見 Pride and Prejudic ‐「ブリジット・ジョーンズの日記」の基になった、ジェーン・オースティンの小説「自負と偏見」を美しい田園風景を背景に映画化のラブストーリー。オール・イギリス・ロケで撮った由緒ある豪邸も要チェック!
*いつか晴れた日に Sense and Sensibility‐19世紀初頭の女性に不利な家族制度や文化を通して、当時の暮らしをジェーン・オースティンが淡々と描きます。
*眺めのいい部屋 A Room with a View ‐20世紀初頭、封建的思想の残るイギリスを舞台に、イギリスの格調高い美術や衣裳、そして美しい映像で綴ったラブ・ロマンス。
*日の名残り Remains of the Day‐原作は日系の英国作家カズオ・イシグロのブッカー賞受賞作品。侯爵に忠実な執事として徹底的にストイックに生きた一人の男の悲哀を描いた物語。美しい屋敷や調度品、当時の文化や使用人の階級制度や暮らしが良く分かる傑作です。
*フォー・ウエディング Weddings and a funeral‐ヒュー・グラント、アンディ・マクダウェル共演のロマンティック・コメディ。変わり者の友人達や暮らしぶりが英国の今を知る上で参考になりますよ。結婚式風景も楽しい!
*ブリジット・ジョーンズの日記 Bridget Jones’s Diary‐日本を含む世界各国でベストセラーとなったヘレン・フィールディングの同名小説を映画化した爽やかコメディ。基盤になっているお話はジェーン・オースティンの「高慢と偏見」なのです。
*カレンダーガールズ Calendar Girls‐イギリスで大ヒットを記録した、すべての女性たちにエールを送る感動の実話。1999年に発売され、30万部のセールスとなった世界初「婦人会ヌード・カレンダー」の発案者となった女性たちが主人公。舞台となっているヨークシャーの田舎町、ネイブリーも美しい町で必見!

インテリア



家で過ごす時間が大好きです。

1人暮らしであろうと大人数の家族だろうと、自分の好きなものに囲まれて暮らしたいという気持ちは変わらないし、そんな暮らし方は心に平安を与えてくれ、1日の疲れを癒し、明日の活力を与えてくれると信じています。 よく使われるインテリアデザイン、インテリア雑誌、インテリアデザイナーのInterior はもともとはラテン語で内側とか中身とかの意味。フランス語圏を通って、英語になりました。内なる物の大切さがインテリア。自分を取り巻く住環境の大切さを秘めている言葉です。気分がなぜかすぐれない時は思い切って、家具の配置換えをしてみるのはど うでしょう。壁紙の色を塗り替えるのも名案ですが、ちょっと大掛かりになりすぎなので、カーテンを替えて見ませんか。お気に入りのレースのテーブルクロスを使ってカフェカーテンにしつらえるのも名案かもしれません。反対にカーテンを取ってしまい、ブラインドにしてみると、お部屋はとてもシャープに変わります。 お部屋の模様替えってとてもクリエイティブ!限られた部屋のサイズの中で 手持ちの家具や調度を動かす事によって、昨日までの部屋が新しい今日から の部屋に変わってくれます。Let’s try!

普段使いのアンティーク



シルバーのティーポットからこだわりで集めたブルー・ウイローのカップ ソーサーに熱々の湯気と共に注がれるお気に入りの紅茶の香りは想像するだけでもステキ!美しい季節や楽しい日々を髣髴させてくれてワクワクしてきます。

ブルー・ウイローやウイロー・パターンと呼ばれる絵柄は18世紀末に英国シロップシャーの陶工、トーマス・ターナーが作り上げたものでそのオリエンタルで美しい絵柄には物語があります。娘の名はコンセー、裕福な家の育ちでした。恋人はチャンと言う名前でコンセーの父の秘書、すなわち使用人でした。いつからか2人は身分を越えた恋に落ちるのでした。勿論父親はそれを好ましくは思わずチャンを首にしてしまい、娘のコンセーを身分の高い公爵と婚約させ、家から一歩も出る事ができないようにしてしまいました。 かごの鳥になってしまった彼女を忘れられず、恋焦がれ、何とかコンセーの家に忍び込んだチャンでしたが家来達に見つかってしまいました。追手を必死にかざし、恋する2人は船で遠くの島までの逃避行に成功、しばらくは幸せに暮らしたとの事です。ところがこの賢い青年、チャンが有名な作家になったばかりにコンセーの父に見つかり殺されてしまいます。悲しみに覆われたコンセーは自害。この2人がブルーウイロー柄の中に飛んでいる2羽のハトなのです。ストーリーはロミオとジュリエットの様でさすがシェークスピアの国で生まれたウイロー・パターンと納得です。

アンティーク家具を楽しむ‐1



日本のことわざに「備えあれば、憂いなし」という言葉があります。「普段から、いざという時のために準備をしておけば心配することはない」と言う意味ですが、英国の家具は本当にその通りなのです。

その名はoccasional(オケージョナル)家具。普段は両サイドのリーフをたたんでお部屋の片隅で静かに花瓶をのせていた子が、人が集まる時にはそのリーフを勇壮に広げ、テーブルとして登場。パーティーの花形に変身!  又、みんなで暖炉やストーブを囲んでの談笑の場面でのティータイムにはそれぞれ座っているソファーや椅子の側にテーブルが欲しくなります。そこで登場するのがさっきまで入れ子になってじっとしていたネストテーブル。3つの小テーブルたちに変身してお役にたちます。パイスタンドも普段は折りたたんでついたての様ですが、出番が来ると小家具に変身、あれこれお菓子やお料理を乗せるのにうってつけ。とりわけ棚板が長方形タイプは私呼ぶところの「おかもち」。出前の様に、呼ばれた場所に参上!お役にたちますよ。 他にも英国の家具たちには仕掛けのあるものが一杯。普段は邪魔にならない小さな家具がいざという時にはしっかりその使命を達成!かしこい英国アンティーク家具なのです。

アンティーク家具を楽しむ‐2



私の扱っている家具は1930年代が中心なのですが、

この頃の英国ではビクトリアン、エドワーディアン、それ以前に作られた家具の様式を真似て作るリバイバル家具が流行しました。それゆえに出回った数も多く、値段的にも安価になり、家具自体の大きさも小ぶりになった事もあり、流通しやすくなったと言われています。おかげでインテリアのコーナー作りに英国アンティーク家具たちが活躍するようになりました。昔はカトラリーや食器を収納し、食事をサービスする為に使われたサイドボードは玄関やリビングルームのメイン家具にぴったり。我が家では玄関ホールに置かれ、お気に入りの古伊万里の大皿や季節の花を引き立ててくれます。薄型でちょっとしたスペースに都合良いブックケース。同じく薄型で手持ちのコレクションを美しく見せてくれるガラスキャビネット。文庫本や雑誌の整理にぴったりのマガジンラックはCDの収納にも良いですね。そんな英国家具たちと一緒に日本の古いものを登場させるのがケイティースタイル。古いものはお互いに生まれたところや使われていたところが違っても、しっくりと相性が良いのです。 「英国びいき」は良いけれど、「英国かぶれ」とは呼ばれたくありません。ご縁があって遠路日本までやってきた英国アンティーク家具たちに敬意を込めて、是非日本の古い物たちを一緒に飾り、仲良く使ってあげて下さいね。